アディダスのヴィンテージジャージに使用されるファスナー・ジッパーについて
ここではアディダスのヴィンテージジャージに使用されるZIP(ファスナー・ジッパー)について紹介したいと思います。
アディダス独の製品、アディダス仏の製品、そして日本国内で展開したデサントライセンスの製品に区分して紹介したいと思います。
アディダス・ドイツのヴィンテージジャージ
アディダス独がスポーツウェアの一般販売を開始したのが1967年からです。
アディダス独のモデルは西ドイツ以外にも、一部ユーゴスラビア、ハンガリー、香港などでも生産されます。
ZIPはOPTI、MEGA、YKKのものが使用されます。
OPTI-LONはドイツのファスナーメーカーで、1960年代後期から1980年代のモデルにOPTIのファスナーが使用されます。
西ドイツ製、ハンガリー製のモデルはOPTIのジッパーが使用されます。
ジッパーのスライダー部分には"OPTI"と刻印されます。
MEGAはユーゴスラビアにあったファスナーメーカーと考えられます。別のメーカー名で、MEGAという製品名ということも考えられますが、可能性は低いと思います。
ユーゴスラビア製のモデルについては、MEGAのジッパーが使用されています。
ジッパーのスライダー部分には"MEGA"と刻印されます。
YKKは日本のファスナーメーカーです。
1980年代の香港製などのアジアメイドのモデルに使用されます。
1967年6月に吉田ドイツが設立されますが、アディダス独の製品はほとんどがOPTIを使用しています。
アディダス・フランスのヴィンテージジャージ
アディダス仏が自社でスポーツウェアの一般販売を開始したのが1960年代後期からです。これはVENTEXを買収してからとなります。
アディダス仏のモデルはフランス以外にも、一部チュニジア、ルーマニアなどでも生産されます。
ZIPはECLAIR、AILEE、PRESTIL、ECLAIR-PRESTIL、YKKのものが使用されます。
ECLAIRはフランスのファスナーメーカーで、1960年代後期から1970年代初期のモデルにECLAIRのジッパーが使用されます。
アディダス仏(VENTEX)がECLAIRのジッパーを採用した期間は短く、初期のトレーニングスーツやトラックスーツにのみ使用されています。
AILEEはフランスのファスナーメーカーで、1960年代後期のモデルにAILEEのジッパー使用されます。但し極稀にしか見ません。
PRESTILもフランスのファスナーメーカーで、1960年代後期~1980年代のモデルにPRESTILのジッパーが使用されます。
1960年代後期~1970年代までのモデルに使用されるジッパーには、スライダーに"PRESTIL"と刻印されます。そして1970年代後期から、スライダーに"P"のみが刻印されるジッパーが登場し、1980年代まで使用されます。
1970年代にECLAIRとPRESTILが合併?して、ECLAIR-PRESTILに社名が変更されているっぽい?ですが、その後も"PRESTIL"ブランドのジッパーが使用され続けます。
YKKは日本のファスナーメーカーで、1970年代初期から1980年代のモデルにYKKのジッパーが使用されています。
YKKは1967年の12月に吉田フランス(YKK YOSHIDA FRANCE)を設立しています。そしてYKKのフランス進出によって、当時のECLAIRもPRESTILも大打撃を受けたようです。
1980年代後半のモデルは、ほとんどYKKのジッパーが使用されます。
デサントは1970年にアディダスとスポーツウェア製造のライセンス契約を結びます。
ですので、日本国内でアディダスウェアの販売を開始したのが1970年に入ってからです。
ZIPはYKKのものが使用されます。
デサントが展開した1970年代初期から1990年代のモデルにはYKKのジッパーが使用されます。
最初期のトレーニングウェア"ADS-3"には、YKKの"ZIPLON"ファスナーが使用されます。一部70年代のモデルにも稀に使用されます。
ジッパーのスライダー部分には筆記体で"ZIPLON"と刻印されます。
その後のモデルは"YKK"と刻印されたものが使用されます。